IELTS導入機関インタビューschool-interview-vol1

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大妻中野中学・高等学校

グローバル・センター長 水澤 孝順先生 インタビュー記事

大妻中野中学校・高等学校は、2015年、将来を担うグローバル・リーダーとなる人材育成を目的とした「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」のアソシエイト校に認定され、全校生徒の約10%近くを占める帰国生と一般生の混合クラスなど、独自のカリキュラムを軸にした実践性の高い国際教育に力を入れた中高一貫校です。

IELTS導入のきっかけ

2015年「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」アソシエイト校に認定からIELTS導入まで

2015年SGHへ申請するにあたり、英語力の成果指標として、CEFR目標を定める必要があり、様々な英語4技能試験を検討しました。ある試験は学内での実施が難しかったため、代替案としてこの英語試験の簡易版を学内で実施し、最終的には本試験の受験者を増やし、スコアを上げていくことを考えていました。しかし同時に、簡易版テストではListeningとReadingの2技能しか測ることができず、英語4技能評価としては不十分であるとも感じていました。

そのような折、2017年10月に系列大学である大妻女子大学で、JSAFとのパートナーシップによるIELTS公式イベント「IELTS Masterclass」(※)が開催されるという話を聞きました。元々IELTSという試験については知っていましたが、高校生に適しているのかわからないことも多く、まずは情報収集のため、イベント参加を決めました。 イベントが終わってみると、参加者の大半は大妻中野中学校・高等学校の学生や関係者であり、もともと帰国生の割合も多かった本校で今後IELTS公式テストを実施していく方向で、検討が進んでいきました。  

実はIELTS公式テストを学内で実施する前に、Free Practice Testという無料のIELTS模擬試験を生徒たちに受けさせる機会をいただきました。これを実施したところ、本校生徒でも十分に受けるレベルに達していると理解することができ、公式試験実施へとつながりました。

(※)IELTS Masterclassとは?

IELTS Masterclassとは、IELTS各スキルの採点基準や、IELTSがどのように英語4技能習得に結びつくかについて、IELTS Expertがレクチャーする、IELTS受験生や英語教育関係者向けのIELTSの公式イベントです。
詳細はこちら

Speakingで高スコアを出す生徒が多い

IELTS受験生の大半は、「グローバルリーダーズコース」という帰国生向けコースの在籍者です。このコースは、カリキュラムをネイティブ講師が一から作り上げ、プロジェクトベースに、アカデミックな内容について取り組ませ、それに対して生徒はリサーチ、プレゼンテーションといったアウトプットを行う機会も非常に多いため、英語を話すことへのためらいがほとんどありません。

しかし、日常的に英語を話せる生徒は多くいますが、それだけではIELTSで高得点は取れないということも分かりました。Speaking対策にもつながることですが、日常的なの英語学習から、アカデミックな語彙にパラフレイズしようとする意識をより徹底する必要があると感じています。

一方でWritingに苦戦する生徒も多い

生徒のライティング課題を添削する機会が多いのですが、帰国生であってもライティングに苦戦する生徒が多いように感じます。生徒によっては、受験するたびに書くスタイルを変えてもなかなかスコアが上がらないため、ライティング対策はある程度の段階にとどめ、他のスキル対策に時間をかけて、最終的にOverallのスコアを上げていました。 もちろん大変ではありますが、ライティングがチャレンジングというのは、IELTSの奥の深さであり、良い点だと思います。

高校生がIELTSを受けるメリットとは?

生徒側

高校生は大学受験が大きな目標であるため、IELTSスコアを大学受験に使うことができるというのはかなり大きいと思います。さらに、IELTSは大学に入学してからの方が活用できる機会が多いというのも魅力の1つです。 IELTS受験をした昨年の本校卒業生は全員、大学受験でIELTSを利用しており、国内のいわゆる難関と呼ばれる大学に全員合格し、素晴らしい結果が残せています。  

また、Speakingが対面というのも大きいと思います。特に高校生は、テスト時に面接室まで移動するちょっとした時間での会話や1つ1つのコメント、試験官の表情をとても敏感にとらえています。つまり、その時間をうまく活用できれば、また次がんばろう、というモチベーションアップにつながりやすいと思います。   さらに、IELTSは○○英語、といった特定の国ではなく、様々な英語、イントネーション/発音で試験が構成されているため、グローバルな言語としての英語試験として、非常に優れていると感じています。  

教員側

上記の通り、多国籍で英語ネイティブの教員が授業カリキュラムを構築することで、ネイティブ教員がある程度イニシアティブをとってカリキュラム運営を行う体制になりました。その中で、IELTSで生徒が何点取ったという話は、IELTSが世界標準のテストであるという特性ゆえに、ネイティブ講師にも伝達・共有しやすく、これがIELTSのブランド力だと感じています。

今後の高校生のIELTS受験の鍵を握るのは保護者への情報共有、先輩生徒たちの協力

高校生は特に保護者の理解が必要な世代です。適切な情報提供をしていかないと、IELTSという試験を理解してもらうことも難しいです。 保護者だけへの情報発信というのは難しいですが、それでも、『学内で実施している英語試験』というのはかなり大きなインパクトがあります。また、学校側としても、卒業生がIELTSを大学受験に利用してどのような結果が出ているかという資料もあるため、このような実績もかなり影響力が大きいです。

さらに、学生側からすると、学校からの情報はもちろん見ているでしょうが、それ以上に先輩たちのリアルな体験談が重要な情報源になります。 本校では卒業後も後輩たちに協力をしてくれる卒業生を、グローバル・チューターとして、英語学習のアドバイスやIELTSの大学受験活用例の紹介といった情報提供をしてもらっています。その分、後輩たちも先輩たちと同じような大学に進学することが多いのですが、勉強の仕方やIELTSの活用法を身近な先輩に聞くことができるのは、非常に効果的です。卒業生たちの中にはIELTS以外の英語試験を受けた経験のある学生も多く、そのほとんどがIELTSの方が受けやすかったと、その理由も含めてわかりやすく後輩たちに教えてくれています。

今後のビジョン~Beyond School~

グローバル・センター

昨年、大妻中野中学校・高等学校では、グローバル・センターが設立されました。大学でいう留学サポート業務や外国語教育、検定試験などの事務サポートなどを行っていきたいと考えています。このグローバル・センターは大妻女子大学の服部先生の助言・協力のもと立ち上がりました。今後は、大妻女子大学だけでなく、他大学や世界中の様々な機関とつながる窓口「Beyond School」として機能させ、学生や先生たちに世界との接点を持たせられるようにしたいと考えています。

あとがき

水澤先生、お忙しい中、インタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。 今後も大妻中野中学校・高等学校はグローバル・リーダーとなる人材育成にさらに力を入れ、卒業生たちが今後世界中で活躍されることと思います。 JSAFでは、IELTS公式テスト特別会場実施のほか、海外大学進学プログラム情報提供やガイダンスも開始しています(JSAF海外大学進学制度について詳しくはこちらhttps://japaneducationabroad.org/ )。IELTSや留学情報提供を通して、同校のさらなる国際化に貢献していきたいと思います。